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コラム
 

シエラレオネ訪問記 2004

アウディボドゥな国の印象
ライオンの山を意味する国、シエラレオネ。奴隷解放を意味するフリータウン。

シエラナショナル航空54便ガトウィック空港(ロンドン)発に乗り世界最貧国であるシエラレオネに着いたのは二月二十三日の夜八時を過ぎた頃。夜にも関わらず気温23度というから、日本の夏に相当する暑さ。


出発前から気になっていたアフリカの蚊たちが、思ったほどいなかったのには安心した。黄熱病の予防接種は済ませているので、一番心配なのはマラリアだった。日本人の私にとって未知の病気であり、その対策のために虫除けスプレーと蚊取り線香を新浦安のイトーヨーカドーで購入した。

これがまた結構違和感がある。日本の二月に蚊取り線香と虫除けスプレーを買うこと自体が不思議な客であることは間違いない。同行したNGOメンバーの中には蚊除けの蚊帳まで持参してきている人がいるのを見て、もしイトーヨーカドーで「蚊帳下さい」って言ったら店員はどんな反応をしただろう?と一人思う。

いずれにしても想像以上に蚊がいないのが第一印象である。

次に目に飛び込んできたのは、白人の旅行者たち。入国審査のざわめきの横で観察すると、数百名乗りの旅客機の半数は白人の旅行者のように見える。おそらくNGOや国連関係者もいるのだろうが、あきらかにバケーションで来ている人がこれほど多いとは想像もしなかった。何せ日本の外務省のホームページには、「予定している方は渡航を延期下さい」という警告があるのだ(※)。それを見た上でここにいる自分は、あの警告文はなんだったのだろう?と思う次第。

見た目はイギリス人が多い。そこで彼らに聞くべきだった疑問が一つだけある。「いったいこのイギリス人たちは、数あるリゾート地の中で、なぜにこの国を選んだのだろう」

そんなまだ知らぬこの国の魅力を探すことが、今回の渡航の最大の目的である。

 
 
私が持つアフリカのイメージは、貧困、内戦、砂漠、水不足、アパルトヘイトなどなど。いずれも多くの日本人が持つイメージと大差ないことだろう。その中で、その期待というか予想を裏切ってくれた嬉しい情報がある。水である。

フリータウンの至る所に公共の水道があり、だれでも自由に無料で水を使うことができる。これは底知れぬ程の水の豊富さを意味するのではないだろうか。データを調べてみると、降水量は東京の二倍という。山には緑が茂り、漁場に最適な海に面したこの国は、まさに可能性を秘めた国であることを実感せずにはいられない。


ん? 水が豊富で、米が主食? 海に面しており、魚を生命線とする。そんな国は、世界を探してもそれほど多くないはず。そんな日本に近い国のことを日本人はまったく知らないことは残念に思う。白砂のビーチ、広大なマングローブ、陽気な人々とそれをより引き立てるアフリカの日差し。パラダイスの才能たっぷりのこの国は、限りなく可能性を秘めた国であることを実感する。

現地の人々は、日本のことをほとんど知らない。知っていることといえば、他国同様、ソニーであったり、トヨタであったりと、工業製品の企業名ばかりである。日本のテクノロジーは凄いと言われ続けることは、決して悪いことではないが、日本の印象があまりにもテクノロジーに偏り過ぎていることは寂しすぎる。

日本人にはもっとこの国を知ってもらい、行ってもらい、触れてもらいたい。そして彼らに「アウディボドゥ(How are you ?)」と声を掛けて欲しい。また、日本のことを伝えて欲しい。そして彼らのことを理解する機会が少しでも増えることを望まずにはいられない。

支援活動とは、まずそこから始まるのだと思う。何も私のNGOに支援するだけが支援ではない。もちろん一人の力では限界があることは事実で、そういった団体がバックアップすることで組織的な支援ができることも事実である。ただ、一人一人が目的意識を持つことで、いずれ大きな支援につながるのではないだろうか。

 
 
シエラレオネを離れる日、お世話になったモハメドとラルフにお礼を述べ、出国審査に並んだとき、チップ欲しさに私のことを「friend」と呼ぶ空港警備員がいた。いつか彼を、真のfriendと呼べる日が来るような気がした。
 
(島田隆誠)
 
 

 
※ 外務省の海外危険情報によると、シエラレオネの首都フリータウン周辺が「渡航の是非を検討してください」(危険レベルで上から3番目)その他の地域が「渡航の延期をおすすめします」(同2番目)となっている。

 

   
 
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